筋力F = 筋肉の断面積×(速度とか脳の覚醒とか)

いろんな情報が飛び交っている影響もあり、自分でも文章をまとめておきながら「あれ?この考え方って正しいの?」と思う事がしばしばあるので、そのことについてダラダラ書いているだけの考察文章である。

筋力を示す簡単な式を見て思った事。

筋力F = 筋肉の断面積×(速度とか脳の覚醒とか)

前に書いた文章では筋肉の断面積じゃない方の要素がそもそもいろいろありすぎて正確にFを出せないのではないかと言うようなニュアンスのことを書いたけど、今度は「筋肉の断面積」ももしかしたら曖昧なのではないかという事を思ってしまった。
筋肉という単位は例えば縫工筋とか1本ものだったら断面積も単純とは思われるけど(これだって筋長のどの部分の断面積を使うの?と言われると単純ではないが)、上腕二頭筋等2本以上筋頭がある筋肉だった場合の筋肉の断面積ってどうやって取るのって話になって、 そうなると尚更「この式ってよく考えると無茶じゃない?」なんて思ってしまう。
もっと言うと関節筋を言えば関節の角度によって複数の筋頭がある筋肉の場合の筋力計測を断面積から出す場合どーすんの?って思うともう考えたくない感じで。

これだけでもかなりややこしいけど今度は1筋頭に限定した場合でも、その筋肉を構成する細胞は全部筋線維なのかという話で。
牛の霜降りなどを思い出してもらうとわかるけど、赤身って基本的に筋肉だけれども霜降りは筋線維の間に脂肪が混ざってる訳で(だから美味しい人には美味しいらしいけど)。
人間の筋肉もそういうのがあるというのはちゃんとした教授からも聞いてそれを脂肪肝ならぬ「脂肪筋」と言うらしく、筋肉の断面積はその脂肪分の体積を含むのかどうかということで。
理論的に考えれば含む意味がないので省くべきだけれども、そうなると筋肉の断面積って余計に測れないことになるのではないかと。

更に今度は脂肪ではない「純粋な筋繊維」の断面積の総和で良いのではないかと、理論的に考えてみたりする。
そうすると筋肉に関する別の理論がそれを邪魔する訳だ。
聞いたことあるかも知れないけど、ヒトはトレーニングして鍛えられていない筋肉の中にある筋線維はすべて筋肉として働いている訳ではなく、筋トレ初心者の最初はその筋肉の機能として働いていない筋線維を働かせる所から始まるということで、 筋トレを始めた手の頃は筋肉は太くならずに使われていなかった筋線維が促通されることで筋力がアップすると言われる、そんな理論がトレーニング理論として立派にある訳で。
そう考えると、シンプルに筋線維の断面積の総和でも筋力は測れないのでは?と思われる。しかしこれは掛け合わせる相方に「脳の覚醒」という促通を示すものがあるので、掛け合わせる数値がそちらの場合は問題ない。
しかし掛け合わせる数値が「速度」となると筋力Fは正しく算出されないのでは?と思う訳で。

つまり皆が「筋力の指標」としている理論的な式は実は正しくないのではないかという可能性が出てくるのではないかと。

更に筋肉の持つ筋力について考えてみたりする。
そもそもなんで筋線維は筋出力するのかの詳しいことは機能解剖学とか生理学とかを調べるとすぐにわかるが(ミオシンとかそういうの)、細胞レベルで考えてみると面白い。

筋線維は繊維の一方向にしか収縮しないのはそれこそ生理学でその仕組みを見るとわかると思う。
縦横斜自由自在に収縮するのではなく一方向にしか収縮しないように思われる。
でも筋芽細胞のことを考えると実は全方向に収縮しているが、筋線維という細長い細胞になることでほぼ一方向にしか収縮しないように見せかけ上はなる。
筋線維はではどうやって出来るのかというと、筋芽細胞同士がくっついてなぜか細長い形になって筋細胞(筋線維)になるのであるが、このプロセスを考えると物理的に一方向にしか筋力としての力が働かないというのがなんとなく理解は出来る。
この説明は文章でやると面倒なので気が向いたら図にでもしてみようと思う。

結局その筋芽細胞からの筋細胞の収縮が筋力の基となるのだが(もっと言うと固定されたどこかに付着してそれは初めて筋力となるらしい)ここで疑問が生じる訳だ。
筋細胞一つ一つ、例えば同じ人間の中のその筋細胞の持つ力収縮力は均一なのか同じなのか?
答えはおそらく違うであろう。
そもそもその収縮力ってどうやって決定づけられるのか、それを考えるヒントは筋芽細胞なのではないかと思う。

筋細胞は細胞の中でも珍しく核が複数ある。
それは何故かというと筋芽細胞が合体して仕切り的になっている細胞壁がなくなりそれを囲う外枠だけ残り筋細胞と言う一つの細胞になる、つまり合体した筋芽細胞が持っていた核がそこに残るから筋細胞は複数の核を持つことになる。

ここから仮説。
筋芽細胞は同じ収縮力を持つものとする。
筋芽細胞が10個から出来た筋細胞と、筋芽細胞が20個から出来た筋細胞、収縮力が大きいのはどちらか。
単純に筋芽細胞の持つ収縮力の合算だと仮定すれば後者の収縮力の方が大きくなる。

筋細胞自体はよほどの条件が揃わないと増えないとは言われているが、代謝のことを考えると細胞自体が修復されたり作り変えられたりはしている。
細胞の修復時に筋細胞が太くなり筋力が増すという事は、筋線維を構成する筋芽細胞が増えて核の数が増すのだろうか。
どこかにこの手の論文は転がっているのかも知れないけど探すのが大変そうだ。
でも筋線維が太くなるというのは細胞というものを考えると、細胞1個という単位で考えるとどういうことなのだろうか。
他の組織の細胞が大きくなるというのは、脂肪細胞などはあり得るがそれは脂肪細胞の中の何かが増えるから肥大するのであってそれによって脂肪が蓄えられるという事ではある。
話は逸れるが脂肪細胞の数もある程度の年齢まで行くと物理的に取らない限り体に対してのその個数は減らないので、太るという事は脂肪細胞が増える訳ではなく、脂肪細胞に蓄えられるものが増えるから太るというのはあまり知られていないと思われる。
ダイエットをしても体重が減っても体脂肪率が減っても脂肪細胞の数は物理的に取らない限りは減らないので脂肪細胞が多い人は痩せるのに苦労をするのであるが。

もとい、筋細胞が太くなると筋力が上がるという理屈はいったいどういう事なのだろうか。
改めて考えると結構謎の部分がありそうであるが。
この辺りのメカニズムをしっかり考えれば、筋力の個人差というのももう少し見えてくるのではないだろうか。
筋線維の筋力を決定する要因は?
筋線維の太さはどうやって出来上がるのか?
細胞レベルの話ではあると思うが。

筋肉の断面積ってこう考えると非常にあいまい過ぎて実は太さというのはそこまで精密な力を測れないのではないかと推測できる。
筋力が必要な人は筋肉の太さよりも筋力自体を指標にした方がトレーニングしやすいのではないかと思う。
筋肉を太くしたい人は地道に細胞を育てていくしかないというような気もする、筋力という指標はあまり当てにならないのは最近そんなことを示す説も流れているが。
例えば筋肉を太くするのは重量ではないというのはそのようなことがなんとなく見えてきたからという事とも推測できる。

更にこれに速筋繊維とか遅筋繊維とか混ざるとね(明らかに違う作用をするでしょうみたいな)…

そう考えると筋肉って考えると面倒かも。

以上、終わり。

2020.01.20 新規

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