ウエイトリフティング:習得・上達・強くなるための手法


技術的な細かい解釈はたくさんあるし、それを表現する人の数だけ表現方法がある。
それはさておきウエイトリフティングで強くなるために練習を重ねていくのだと思うが、その際何を目指して行けばよいのだろうか。
一般的にわかりやすく確かにその通りなのが「取り扱い重量」であろう。
ただこれはウエイトリフティングの技術的なルールを満たした中での「取り扱い重量」であることは前提としておく。
ルールに満たない取り扱い重量の向上はウエイトリフティングとしては全く成立しないということである。
大会などの競技場では自分が戦うべく階級の中で「一番高重量」を取れば取りあえずそれでOKであり、それが出来るように日々練習を重ね自身の取り扱い重量を増やしていく。

では練習において、どうやったら増やして行けるのだろうか、そこを考えた上でのウエイトリフティング:習得・上達・強くなるための手法を書いていく。

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【フェーズ1】

ウエイトリフティングを始めた初期の段階では、取りあえずは基本的動作を行えるようにすること。
技術学習の前に、まずは最低限のウエイトリフティングという動作を行えるようにする必要がある。
これはスナッチ、クリーン&ジャークが出来るようになることとはまた別のことである。
スナッチやクリーン&ジャークの動作を行うためには最低限出来なければならない動作というものがある。
その動作が問題なく行えるようにするのが第一に必要なことである。
動作というのは、機械的機能(関節の可動域、筋出力)だけではなく、その動きを制御する制御回路の発達も含む。
いくら関節の可動域や筋出力の大きさが条件と満たしていようが、制御回路が正常に機能しなければ動作は行えないのである。

初期の段階では、機械的機能に関しては筋力よりも関節の可動性の方が大事、そして制御回路を発達させることが大事である。
筋出力はそれらの後でも問題はない。
もともとその筋出力のための筋力が備わっていればその2つが満たされれば動作は行える、というかウエイトリフティングはヒトがもともと持っている身体機能を活用するだけなので扱う負荷を調整すれば良いだけである。
初期設定さえ出来てしまえば、基本動作の習得は制御回路だけの問題になるのでひたすら学習を繰り返すのみである。

【フェーズ2】

基本動作が出来たら今度は「ウエイトリフティングの動作」の取得である。
スナッチ、クリーン&ジャークの動作は所詮基本動作の組み合わせに過ぎないので、それらをつなげて動けば良い、そのように動けるように制御回路を発達させるだけである。
その際、機械的機能の筋力のアンバランスに関してはもちろん補正をしていく。
原則初期の段階であれば、ウエイトリフティングの動作を繰り返していればそれに応じた筋力バランスは出来上がっていく。
どうしても足りなければ別途補てんをしてく形である。

【フェーズ3】

ウエイトリフティングの動作を完全に習得すれば後はその動作における取り扱い重量を増やしていけば良いだけである。
ここを難しく考えて技術やテクニックを混ぜ込む傾向にあるが、技術やテクニックは実はその前段階で身に付いているはずであるので難しく考える必要はない。
ただひたすら習得したウエイトリフティングの動作が違うものにならないように繰り返し練習して行けば筋力も付いてくるので、付いた筋力に合わせて練習重量を挙げて行けば取り扱い重量はおのずと増えていく。
ただ筋肉刺激や制御回路のマンネリ化は取り扱い重量の向上を遅らせることがあるという学術データもあるようなので、そこはその都度工夫をしていきマンネリ化を防ぐ努力は必要かも知れない。
しかし取り扱い重量を増やしていく手段はウエイトリフティングの動作をひたすら繰り返していくのが身体バランス的には効率は良い。

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一般的なウエイトリフティングの取得はフェース2か3から始めることが多い。
ただフェーズ1をおろそかにしているケースが多いのでフェーズ2がきちんと出来上がっておらずそのままフェーズ3へ移行するため、取り扱い重量の伸び悩みや小手先のテクニックや技術をフェーズ3に取り入れて泥沼にはまっていくことがある。
フェーズ3でのテクニックや技術練習はフェーズ1をしっかり完遂した上でフェーズ2も終わらせていれば不要なものである。

現実的な話、フェーズ1はウエイトリフティングからはちょっと遠い内容になるのでやりたがる人はいないので、飽きさせないためにフェーズ2と同時進行で行うことが多い。
プレイヤーのレベルに合わせてフェーズ1と2の割合は変わっていくのは実際の所ではあるが。
もう一つの現実問題として、フェーズ1を教えられる人材が少なすぎるという問題もある。
フェーズ1は実はウエイトリフティングとはあまり関係ない分野でもあるがゆえに、コーチという分野の人にフェース1を完了させるのは無理な面もある。
ちなみにウエイトリフティングコーチが教えられるのはフェーズ2からである。

既にフェーズ3の状態までのプレイヤーで強くなれずにのみ悩んでいるのであればフェーズ1をきちんとやり込んでみるのも一つの方法である。
最もフェーズ1をやり込むとおそらく今行っているやり方が大幅に変わる可能性が高いが、強くなる・上達するとはそういう事である。
だからフェーズ1をやりたがらないという現実がある。
ほとんどの人がフェーズ3のどん詰まりから重量を増やしていく(≠強くなる・上達をする)方法を知りたいだけなので、そうなると小手先のテクニックや技術に走るという傾向にある。
しかしそれらが所詮「小手先」であることに気付くべきであり、それに気づけないのであれば強くも上達もしないと考えた方が良い。
根本から強くなるにはフェーズ1はかなり重要である。
しかしフェーズ1はウエイトリフティングではない専門性が必要なので難しいところではあるが、指導を受けられるところが全くないという訳ではないので不可能ではない。

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話は逸れだが、つまりここに挙げたフェーズ1~3を丁寧に行っていけば、己の一番強い状態までは持って行ける。
後は個人の資質の問題であり、こればかりは手法ではなく生まれ持ったものがものを言うので、そこは割り切らなければならない部分であろう。
しかしウエイトリフティングの現在の世界において素質を持った人間が丁寧にやり方をなぞって強くなっている例は日本国内では少ないので、素質がそれほどでもない人でもチャンスはある。
つまり素質がある人でもきちんと手順を踏まなければ本当の頂点には立てないという事である。

もしもウエイトリフティングの何かに悩んでこのページを読んだのであれば是非フェーズ1からやり直してみてほしい。
ちなみにこれを書いている当方はフェーズ1~3まですべて対応しているので、一度体験を試してみても良いであろう。

以上、終わり。

2020.3.3 新規

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