ウエイトリフティング:スプリットジャーク/プッシュジャーク/スクワットジャーク(パワージャーク)
ウエイトリフティングのジャークは大きく分けて3パターンある。
- スプリットジャーク:
足を前後に出してバーベルをキャッチ。
万人向けのジャーク。
初心者から上級者まで愛用者が多い。
ただキャッチの安定性に脚力を最大限に生かすのは必須。
そして意外と他の2つに比べると動きは複雑。
ディップ後に足を前後に出さなければならないので、ディップの際の下半身の踏み込みが中途半端になるリスクが高い、つまり思ったよりもバーベルに力を加えられない可能性がある。
また踏み込みに集中すると足の動きが遅れる可能性もあることは考慮しておかなければならない。
ちなみにどちらの足を前に出すかという問題であるが、これは上半身がどちらの回転に対して抵抗力が高いかなども考慮した方が良いのだか、たいてい利き足が前に出ることが多い。
そして大体ジャークの際のバーベルは体の少し前方に行ってしまう可能性が高いというのもあるので技術練習でしっかりカバーする必要がある。
バーベルをキャッチした際の支持基底面内の重心は前に行きやすい(つまりバーベルが若干前方にある状態でのキャッチになりがちだ)が効き足を前に出すケースが多いためそちらのリカバリーは出来る。
後ろに重心が行ってしまった場合は意外と弱いことも。
動作上バーベルが回転しやすい。
そして肘が曲がりやすい。
ディップが雑でも行けることが多い。
- スクワットジャーク:
バーをあまり高くティップせずにスクワットの形状でバーベルをキャッチ。パワージャークとも呼ばれる。
マニア向けと思いきや、このジャークが有利な骨格タイプが存在する。
肩幅が広く上半身特に背中が大きければこのジャークも有効、つまり上半身の力が要求されるジャークである。
名称が「スクワットジャーク」と言われるので脚力ばかり見られるが実は上半身が大事なジャークである。
このジャークの一つの特徴はそれほど高くバーベルをディップする必要はないというところである。
低めにディップする代わりにバーベルの下に体を素早く入れ込むスピードが必要である。
そのため足が短い人の方が動きが小さく済むので、上半身が大きくて足がそれほど長くない人には結構向いていると思われる。
ディップの出力を小さく出来る分、素早くしゃがみ上半身でしっかりバーベルを抑え込む必要がある。
またディップによるバーベル挙上位置の正確性は重要になってくるので技術が必要になってくる。
雑なディップでは取れない非常に難しい面を持っていることも考慮に入れること。
重心が低いのでキャッチの際にバランスを崩すとリカバリーは上半身ないし腕力で行うしかない。
前後の誤差に弱い。
深くしゃがんでのキャッチなので立ち上がりが大変(脚が長いと特に)。
体をねじらないので一度ハマってしまえば肘が曲がる問題は少しだけ改善出来るかも。
下半身の力が要らないように思うが実は脚力も必要。
- プッシュジャーク:
足を前後に出さずに、あまりしゃがみこまずにバーベルを素早くプッシュして押し上げてキャッチ。
初心者向けあるいは腰や下半身の関節が弱いあるいは問題を抱えている人向け。
下半身の力+素早いプッシュの力によりバーベルを押し上げるちょっと力技的な面を持つ。
しゃがめない人やしゃがむのが怖い人は否応なしにこのスタイルになる。
キャッチの時に軽く(浅く)膝を曲げてキャッチするのはスクワットジャークではなくこちらに分類される。
選手活動としてあまり活用されないジャークではあるが、ジャーク入門としてはその技術や仕組みを解りやすく知るには良いツールである。
そして下半身の怪我の影響がある人にも優しい、但し手首には少々厳しい。
上腕三頭筋に思い切り刺激を入れやすいので、クイックリフトとしてのトレーニング種目ならプッシュジャークが一番である。
とにかくディップでバーベルをある程度浮かせたら後は素早く力強くプッシュあるのみ。
プッシュがスローだとプレスアウト扱いになることもあるのでとにかく腕力の瞬発力が必要になってくる。
プレスアウトにならないようにするためには膝を浅く曲げるのと合わせてプッシュすると良いかも。
バーベルが否応なしで高い位置でのキャッチまたその操作になるので動的安定性は抜群。
但し上肢の関節の負傷に注意すべきではあるので技術でしっかりコントロールを身に付けること。
ディップが雑でも腕で何とかすることも出来るが肘が曲がってしまうリスクもある諸刃の刃。
■技術的難易度
スプリットジャーク = プッシュジャーク < スクワットジャーク
どのジャークを選ぶべきかは他でも書いたが自分の骨格で決めてみるのも良い。
分からない、健康である、面倒なら「スプリットジャーク」で良い。
股関節・膝関節・足関節に問題がある、あるいはスプリットで痛みが出る場合はプッシュジャークが安全。
スクワットジャークは好みで良いとは思う。
結局のところジャークは好みで選んでもそれほど大差はないと思う。
身に付けるべき技術や筋肉・筋力が違うだけ。
選手登録の際の採点制という制度ないでは「スプリットジャーク」が出来ないと数点減点されるので採点制で満点を目指すのであれば取りあえずはスプリットであるが。
但し採点制は満点じゃなくても基準の点数を超えればOKなので満点にこだわらなくていい、審判員は他のところで減点するかも知れないから。
好きなのを選んでいいよって感じだが、きちんと行うのであればきちんとした技術を教わること。
以上、ここまで。
2020.02.14 新規
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