ウエイトリフティング:続・バーベルの軌道の話

一つ前の「バーベルの軌道の話」の続き。

それでは次に下図のような条件でのバーベルの軌道を考えてみる。



さりげなくバーベルが綺麗に置かれていないことに気付いてもらえるとありがたい。
実際はこんなに大げさではないけれども、でも綺麗に配置されることはまずないと思った方が良いかも。



取りあえず先ほどの流れでの簡略化をしてみた。バーベルを直線にしてみた。

この状態でXY平面を見てみよう。



新たに「c」「d」が追加されているが、今回の軌道は直線ではないところがミソ。
「c」は軌道がX軸方向に対して最大限触れる点のXの値を指す。
「d」は軌道がY軸方向に対して最大限触れる点のYの値を指す。

そして次いでスタートの点座標はそれぞれXの値が違う。
スタート地点が違うということは軌道が少なくとも3つ描かれるということでもある。
①の描く軌道はXの値の最大値がCであるが、②③はスタート地点のXの値がすでにcよりも大きいことにも注目してほしい。
②③はどんな軌道を描くのだろうか。

次いでZY平面を見てみることにする。



実は予測不可能なので軌道がすべて描き切れなかったと言い訳をしておく。
それ以外にもいろいろと軌道が不思議なことになっていることにも気づいていただけたらと思う。
これはバーベルがXZ平面上に斜めに配置されていることに起こる、見せかけのバーベルの直線の長さの違いが起こす現象である。
視線はX=0からX>0の方向に見た場合、①が手前に来ていて③が奥にあると考えると分かりやすいだろうか。
立体空間では棒をそのように置いた場合、実際の棒の長さよりも短く見えるのは日常的に当たり前のことだと気づけばわかる図である。
そしてバーベルを挙上した時は①と③が並ぶので本来の長さに見えるということである。
もちろんそれぞれの点の位置はZ軸に平行に並んではいない。
ただ挙上したら①②③はZ軸に対して平行に並ぶ。

始点と終点の位置が変わるのもさることながら、y=dも気になるところである。
これは本来軌道の頂点はy=d上のどこかの点を通るのだが予測不可能なので文章で説明することとした。
つまり実際の軌道はb'→d→bの順番で必ず描かれるのである。

され次はXZ平面からである。



視覚イメージとしては頭上または足元から見ている軌道である。

dは全く関与せず、cが大きく関わってくる。
この図からZY平面でのバーベルの見せかけの長さの違いがなぜ起こるのかを読み取れるのではないかと思う。
軌道としては①と②③では軌道がcを通過するかしないかの差がある。

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バーベルの軌道をきちんと考えると厄介であることがお分かりいただけたらと思う。
どうしても一つの直線で描きたいし、それを見た方が単純で分かりやすいが、しかし1本の線で判断することは不可能だということもお分かりいただけたらと思う。

最後に、バーベルのしなりも軌道に影響するという図を紹介する。



詳しくは動画である程度解説してありますので、そちらも合わせてご覧いただけるとよろしいのではないかと思います。

以上。

2020.6.10 新規

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