ウエイトリフティングフォームを分割するとウエイトリフティングではなくなる2025.4.6記



ウエイトリフティングの習得で非常に大事になってくるのは「ウエイトリフティング」をいかにウエイトリフティングで練習するかです。

おそらく今のセオリーではウエイトリフティングの動きを分割していきながら強化を行っていくのだと思いますが、しかしウエイトリフティングの動きを分割したものをくっつけても、元のウエイトリフティングにはなかなかならないものです。

まったくならない訳ではないけれども、ウエイトリフティングの本質をなんとなくでも掴んだり捉えることができたのならば、おそらくは今の分割方法は適していないと感じるのではないかと思います。

ちなみに、現在ではファーストプル、セカンドプル、サードインパクト/サードプル、キャッチと言うような形で分けるのが一般だと思われます。

確かにウエイトリフティングの動作を分割してみると、このように分けるのが分かりやすいし、分けて別々で練習もしやすいと思います。

ファーストプルはデッドリフトのようなトレーニング、セカンドプルはブロックに乗せたところからとかハイプル、サードインパクトという概念自体は私がやっていた頃にはあまり知られていなかったので私も詳しくは知りませんがどうやら足首周りのトレーニング、キャッチはローキャッチの場合はフロントスクワットやオーバーヘッドスクワットのようなトレーニングですかね、そんな内容をやっていたりします。

しかしここまで分けてしまった時点で、それぞれはもうウエイトリフティングではないと理解はできると思います。

それでは、ウエイトリフティングではないものを組み合わせたらそれはウエイトリフティングと言う動作になるのでしょうか、そう呼べるのでしょうか。

例えばバーベルをデッドリフトで大腿の真ん中ぐらいまで持ってきて、その後にハイプルをして、足首の底屈をして、オーバーヘッドスクワットの体勢になる。

これは果たしてウエイトリフティングの、例えばスナッチなのでしょうか。

否、これはスナッチではなくて4つの動作を組み合わせたウエイトリフティングのように見える動きに過ぎません。

何故そう言えるかと言うと、ウエイトリフティングの本質的な動作を壊している分割の仕方だからです。

ウエイトリフティングの動作と言うのは、例えばスナッチであればバーベルが床から離れてキャッチして立った状態でのフィニッシュでスナッチというものになります。

実は分割などできない、それぞれの動きが連続性でなければならず、また連続性があるからこそスナッチなんです。

連続して一つのものを連続性をなくしてしまったらそれはスナッチではありません。

おそらくここまで読んでいて訳が分からないことを言っていると思われるのではないかと思います。

しかしこれは、例えばスナッチをマスターした後に改めてスナッチをやるときに分割してそれを成立させることができるのかどうかを試してみるとわかるかも知れません。

いちいちここからここまでがファーストプルで、この時点でセカンドプルで、ここでサードインパクトで、そしてキャッチ、この4種目を自分はやっているんだ、なんてスナッチをやっている時には考えないと思います。

考えないでそれらの境界線をなくしている時点で、そのスナッチはすでに4種の組み合わせではなく1種のスナッチになっているということです。

ウエイトリフティングやクイックリフトを指導していると、人は分割をしたがるものだと思います。

一番わかりやすい区切り方としては、わかりやすく言うとセカンドプルの直前直後ですね、ここの直前と直後の間に境界線を入れます。

理由はおそらく「動作が変わる」と思っているからだと思います。

しかし行う動作自体は実は変わっておらず、そのまま股関節、膝関節、足関節を伸展し続けていけば良いだけであり、伸展と言う動作自体に変化は起こりません。

ただし、その境界線付近で関節を伸展させる速度を変える必要はありますが、それは速度を変えるだけであり動作が変わる訳ではありません。

その「速度が変わる」というポイントで別のことをしようとするから分割されてしまうのではないかと推測できます、あくまで推測でしかありませんが。

例えば車で例えてみましょうか(車のことが分からない人には伝わらないけれども)

今はAT車が多いのでより伝わりにくい話になりますが、MT車に乗ったことがある人ならわかるかも知れません(しかしAT車でも同じことは起こっているのでこれを機会に少し車の仕組みも勉強してみるのも良いかも)。

ギアとかシフトと言うような表現をしますが、つまりはギアですね、これを変えているだけと言うのがセカンドプル直前直後の境界で起こることなのです。

つまり車を走らせながら、その速度に合わせて例えばサードギアからトップギアにギアチェンジするということと同じようなことでしょうか。

昔の車種の中には、セカンドからいきなり4速に切り替えるなどをしたりすることもありますが、車の速度に合わせたギアチェンジを行うそのものに、走り方が変わるということは起こらないはずです。

いちいち停車してからギアチェンジはしません(公道でそれをやると危ないし)。

ギアチェンジは走りながら行うものです。

と言うように、ウエイトリフティングで言えばバーベルを持ち上げるための足を伸展し続けながらその伸ばす速度を変える、ギアをチェンジする、と言うことで、足の伸展を続けている状態でギアチェンジをしないとウエイトリフティングの動きにはならないということでしょうか。

そこがウエイトリフティングにおけるテクニックであり、その部分をトレーニングとして鍛えたいのがクイックリフトなのだと思います。

しかしその本質を理解していない状態でウエイトリフティングを分割して練習しようとすると、せっかく分割して強化できたとしてもそれを実際のウエイトリフティングには反映できないなんてことが良くあります。

これは私が現役でいろんなところで練習をしていた時にもよく見ていた光景です。

かなりの高重量でハイプルの練習をしているにも関わらず、実際のスナッチの重量は伸びない。

練習している当人はそれで強くなった気持ちになるかも知れないのですが、第三者から見たらなんの成長もしていないのが見えていたりしたものです。

それはなぜかと言うと、ウエイトリフティングじゃないことをひたすらやっているからです。

ウエイトリフティングを習得したり、上達したり、強くなりたかったら、ウエイトリフティングの練習をしなければならないのです。

ウエイトリフティングを適切ではないところで分割したものは、それはウエイトリフティングではなく、ウエイトリフティングではなくなっているそれを練習したところで、すでにウエイトリフティングの練習ではなくなっているということでしょうか。

おそらくわかりにくいのだと思いますが、一般的にウエイトリフティングを習得するために分割されたものを練習したところで、それはウエイトリフティングではないのでウエイトリフティングが習得できる訳ないし、強くなるわけでもないし、上達する訳でもないのです。

極端な言い方をすると、ウエイトリフティングを習得したいのにパワーリフティングの練習をしているようなものです。

パワーリフティングはパワーリフティングの上達のため、習得のため、強くなるために行うものであって、ウエイトリフティングのそれらのために行うものではないのです。

さて、ではどうして分割をしてしまっている、そういう文化があるかと言うと、ウエイトリフティングって難しいんです。

やればわかると思いますが、結構難しい、決して簡単なものではないです。

小分けにした方が効果的で強くなれる、上手になれるからでは決してありません。

難しいから小分けにして覚えた方が分かりやすいから、だから分けるのです。

分けたいほどに実は複雑な動きなのかも知れません(そうとも思えないですけどね実際)。

人間は加速したり減速したりというコントロールは苦手なのかも知れません。

違う動きを、例えば4つの動きを1から順番にこなしていった方が得意なのかも知れません。

料理の調味料の加減を調整するのは結構難しく、それよりも決められた量を決められたレシピで入れていった方がおそらくわかりやすいのでしょう。

結構専門的な用語で言い表すと「曖昧さ」や「ファジー」と言った概念や感覚で動くことが苦手なのかも知れません。

境界がはっきりしていない中でコントロールをして物事をこなす、と言うことが曖昧さやファジーという感覚や概念が必要になってくるところですが、ウエイトリフティングのバーベルの加速は実は「曖昧さ」や「ファジー」をどうやって身体の動作に取り込んでいくか、それを使っていくかなのだと思います。

ウエイトリフティングの動作は分割されたものではなく、連続性で成立しているものです(クリーン&ジャークは2分割だろうという話はありますが、これも突きつめると完全分割ではない)。

つまりバーベルが加速して力を帯びて上昇していくのにギアチェンジはあるが動作に変化はない。

ギアチェンジのポイントも必ずしも同じところではないので境界点を決めることができない、その境界点自体があいまいでファジーである、それを考えながらギアを切り替えていかなければならない、これがウエイトリフティングの本質の一つだと思います。

そしてそのギアを切り替えるポイントこそが「タイミング」というものなのではないかと思います。

曖昧な中でそのタイミングを捉えてギアを変える、そうすればバーベルは気持ち良いぐらいスムーズに上がります。

実際に指導をしていて、それを理解した人がいました。

その感覚やプロセスは言葉にはできないようでしたが「わかる」とは言っていました。

そのタイミングを掴んで上手くバーベルを上げるために、体の使い方を学びます。

それがフォーム習得のための練習だと思います。

ウエイトリフティングの動きは分割できるようなものではありません。

連続した動きをまるっと一つとして例えばスナッチだったり、クリーンだったりジャークだったり、クリーン&ジャークなのです。

一度ウエイトリフティングのことが理解できれば、その上で自分自身で分割して行う分には良いと思います。

最終的にウエイトリフティングに還元できれば分割も悪くはありません。

ただ、ウエイトリフティングの本質を理解すると、分割できないものだと思われるかも知れませんが、おそらくはそれが正しいのだと思います。

連続した、混沌とした、カオス状態の中からタイミングを捉えなければならない、そのタイミングは同じ場所に必ずしもいない、となると、少なくとも連続の現象は常に起こしてなければ練習になりませんから、それを起こせない分割は意味がない、と理解出来たら良いかなと思います。

結局わからない人が多いかと思います。

まあでも、だからエッセイの方にしたためだ次第なのですが。

2025.4.15 著

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