一つ前の記事の「
ウエイトリフティング:セカンドプル時における足の使い方のパターン[2024.10.28著]」において、ウエイトリフティングの足の使い方について解説したが、その中で「格闘技スポーツ等においてはつま先立ちになる形のセカンドプルの方が良い」と話したが、その理由を書いて行こうと思う。
予め言っておくが、これはウエイトリフティングもボクシングもやっている経験から、またパーソナルトレーニングにおいて剣道をやっている人にクイックリフトを教える機会があり、その成果報告などからの話だと言っておく。
まずは動画でどういうセカンドプル時の足の形なのかを確認しておく。
何故この形を推奨するのかと言うと、ボクシングや剣道などのフットワークにおける足の使い方に繋がってくるからである。
ボクシングも剣道も、基本的に足は地面を捉えていなければならない。
どんな場合においても、足は地面の存在を無視してはならないし忘れてはならない。
地面があって、移動も、攻撃も、防御も成り立つ。
当たり前のようだが、トレーニングになると忘れがちになることでもあると思う。
著者の場合はボクシング経験者なのでそこから話をしていくと、例えば攻撃であるパンチを繰り出す時、腕力だけでパンチを打っている訳ではない。
パンチは脊柱の回旋、骨盤の回旋、足を使った体幹部全体の回旋で行う。
初心者などは腕で打ちがちだが、アマ・プロレベルはそれを当たり前の様に行う。
今回の話を分かりやすく言うと、パンチは「腕だけじゃなく足を使って打つ」ということでもある。
つまりどういうことかと言うと、地面を蹴ることにより各部分の回旋を安定・強化させて、最終的に上肢の伸展によってパンチを打つという事である。
足が浮いている状態でパンチを打っても、相手を打ち倒すだけの威力は出ない。
足が地面をしっかり捉えていて、片足は軸足として支点として作用し、もう片方の足は地面をしっかり蹴り力点として作用させる。
こうやって安定して強力なパンチ(作用点)を打つことができる。
力点の蹴りにおいて、パンチを出すまでしっかり地面を蹴らなければならない。
これはどういうことかと言うと、パンチを当てるまで足は地面に残っていなければ最後まで蹴る事は出来ないということである。
蹴り出しの最後は足先で地面に力を加えてなければならないということでもある。
力を出せているのはどういう時かと言えば、地面を蹴れている間だけである。
そう考えると「飛ぶタイプ」のセカンドプルのクイックリフト(※「飛ぶタイプ」は
ウエイトリフティング:セカンドプル時における足の使い方のパターンを参照)は最後まで蹴りにおける力の発揮が出来ない形であるために、ボクシングのパンチの為の足の蹴り方のトレーニングには向いてない。
ボクシングのパンチの為のクイックリフトであれば「つま先立ちになるタイプ」の方が、プロセスが同等であるため向いているという事である。
フットワークにおける足の使い方だが、ボクシングも剣道も時に相手との間合いを詰めたり、距離を保ったり、ディフェンスとして距離を取ったり、そうしながら移動もする。
そのような動きにおいて、瞬時に動いたり一定して動いたり、変化のある動きを素早く行うのに、例えば常にピョンピョン跳ねながらと言う形は向いていない。
それこそボクシングのパンチと同じように「常に地面を蹴る動作」が出来るような形の方が動きやすい。
その「常に地面を蹴る動作」において、蹴る力の強弱をコントロールすることで、ゆっくり動いたり、突如距離を詰めるように素早く大きく動いたりを連続した移動時間内で使い分けることができる。
そのような動きをするためには、常に足は地面を捉えていなければならないのである。
そのように「地面を蹴る」という動きをしているクイックリフトの足の使い方は「つま先立ちタイプ」なのである。
トレーニングで取り扱う重量によって、最大筋力での蹴る力を鍛えたり、軽い重量で素早く手返しをするクイックリフトは連続した蹴る力やその持久力を鍛えたりできるのである。
ウエイトリフティングは「重量を頭上に挙上する」というルール上、常に足が地面を捉えている必要はない。
しかし格闘技スポーツなどにおいて、足が常に地面を捉えていなければならないのは必須なのである。
その違いを理解した上で、ウエイトリフティングをトレーニング種目として行う「クイックリフト」を行っていく必要がある。
格闘技スポーツの為にクイックリフトを行う場合は、行い方に注意を払っていただきたいと思う。
以上。
2024.10.28 新規