筋肉が収縮するという事その2(筋肥大の話もある)

前回「筋肉が収縮するという事その1」の続きになるので先にそちらをお読みいただきたい。

ちなみに今回の話も前回に引き続きバズーカ岡田こと岡田隆教授との話からの私の言葉でのまとめとなる。
岡田教授、本当にありがとうございます。
(岡田教授の名前掲載や話した内容の掲載許可をいただいておりますが、岡田教授による文章チェックは通してはいません。)

[前回]
さて、筋肉が撓むのは良いのだが、筋肉が撓むことができるためにはその余白が必要である。
これも今回の話では非常に重要な事である。

[今回ここから]
撓む(曲がる)ことが出来る余白があるからこそ筋肉は撓むことができる。
また同じように筋収縮も、筋肉は収縮する際に太くなる、その太くなれる余白があるから筋収縮できる。

ここで言う「余白」とは何だろうか。

筋肉の構造は、筋芽細胞、筋細胞、それらの集合体、それらの集合体を骨に付着させるための腱をまるっと筋肉と言う部位になるのが一般的ではあった。
しかし、ここ近年、存在自体は分かっていたが実はまだはっきりしていない、筋肉に結合している筋肉を包む組織である「結合組織(と岡田教授は言っていた)」が存在している。

他の言い方をすると「筋膜」とも言うが、筋膜に関してははっきりとした資料もないので多少漠然とした感じもあるが、一応ここでは記号(言葉)として岡田教授の言っていた結合組織を筋膜と表現してみることにする(もしかしたら岡田教授の思うところは違うかも知れないがおそらく筋膜でも問題ないと判断しました。もしも違ったらご指摘ください)

筋膜は筋肉を包んでいる。
つまり、筋肉の収縮の為の最初の余白はこの「筋膜」になる。

筋肉が収縮するためには、この筋膜と言うものの伸縮が必要になってくる。
筋膜と言われるものは、細かく見ていくと細かい繊維で作られた網となっており、つまりその網で筋肉を包んでいる状態である。

もしも、その筋膜が伸縮しないような物で出来ていたら、筋肉が収縮しようとしたときにどうなるだろうかを想像してみよう。

【参考図(想像図)】


機能解剖学などの学問で「筋力は電気が流れた筋収縮で発揮される」とされているが、筋肉を包む筋膜が伸縮しないと筋収縮が阻まれてしまいまず収縮が出来ない。
筋力は発揮しているのかも知れないが、例えば関節を動かしたい時に筋長に変化がない場合は関節を動かすことができない(関節を動かす筋力を発揮することはできない)。
これがまず一つ、筋膜が伸縮できない場合に起こる現象である。

そしてもう一つ、これは岡田教授が興味深いことを言っていたのだが、筋肥大にも関わってくるのではないかと言うことである。

一つ誤解をしないように記しておくが、現時点で論文やら学会の発表やらで筋肥大と筋膜(結合組織)の関係についてまだはっきりとはしていないとのこと。
ただ筋肉について研究や調査をしていれば自ずとそういう考えも出来てくるのではないかという推測の域は抜けないのであろうが、筋肉の専門家である岡田教授がそのようなことを言っていたことについては非常に興味深い話の様にも思える。

要は筋収縮で起こる「筋肉が太くなる」と、筋肥大でも「筋肉が太くなる」現象が起こる、はそれと同じ理屈なのではなかろうかと。

岡田教授は筋力トレーニングについての研究も数多くされているので、そちらからの観点であると思われるが、いくら筋肥大トレーニングをしたところで、肝心の筋肉を包む筋膜が伸縮しなければ筋肥大は出来ないのではないかという話である。

筋力トレーニングは基本的には筋肉を負傷させる行為であると言われる。
筋肥大に何故筋力トレーニングが必要なのかと言うと、負傷した筋肉を回復するそのきっかけを作るためであり、回復の際に筋芽細胞がうっかり増えて(うっかりという表現が正しいのかわからないが、人為的に任意に出来る行為でもないのでこのような表現を使っておく)筋細胞が太くなる、それが結果筋肥大に繋がるという、現在の仕組みを利用するからである。

しかしいくらその大元の筋細胞が太くなっても、それを包む筋膜の伸縮性が伴わなければ(つまり細い時のままの筋膜の伸縮性では)筋肥大自体が起こらないのではないかと言う見方を岡田教授はしているとのこと。
違う言い方をすれば、筋肥大は筋細胞が太くなるだけではなく筋膜の伸縮性がその太さに伴い作り変えられていくというところまで含んでの話だということだろうか。

【参考図(想像図)】


この話は筋肥大だけではなく、筋力に関しても同じことが言えるのではないかというところである。
関節などを動かす力の発揮には筋収縮が伴うが、筋収縮で筋肉が太くなる余白がなければ関節を動かす事すらできない。

もしかしたら筋肉自体のポテンシャルはあるが筋力発揮できないのは、脳からの覚醒刺激だけではなく筋膜の問題の可能性もあるということにもつながるのではないだろうか、と言ったところだろうか。

まだまだ続く「筋肉が収縮するという事その3

以上。

2024.7.18 新規

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