ウエイトリフティングにおけるボックスを使った練習法
★ポイント:ボックスは筋トレではなく、セカンドプルに入る「場所」と「体の形」を覚えるための練習
ウエイトリフティングの練習において、ボックスというものを使い、床ではない、ある程度高さを上げたところからクリーンなりスナッチなりをする練習方法がある。
指導者などにこの練習方法を勧められるが、実際に何が目的なのかをしっかり説明されることは少ない。 それ故に、あまりに意味のない練習をしてしまっているという光景もよく見かける。
かくいう著者も、ボックスを使う意味を見出せずにいた。 しかし、実際にいろんなケースを見ている内に、その意味を少しずつ理解できるようになってきたものである。
ボックスクリーンは何のためのものか
ここではクリーンを例に挙げて話すが、ボックスクリーンというものは、脚力を上げるのでも、筋力を鍛えるのでも、高重量を使って行うものでもない。
これは比較的初歩の段階で行うべきものであり、上級者であればやらなくても問題ない、そう解釈もできる。
では、このボックスを使ったクリーンのトレーニングは何を目的としているのだろうか。 それは
「セカンドプルへの接続場所の確認」 「そのための体の形状の確認」
である。 筋トレではなく、フォーム習得のための、動作の確認のための内容である。
もちろん諸説はある。 しかし著者は、教えながらも、そして自分が教わりながらも、ジムでボックスでのクリーンを練習している人たちを観察しながらも思っていた。 「高重量を力いっぱい引いても意味がない」と。
「セカンドプルへの接続場所」とは
それは一旦置いておき、では実際に「セカンドプルへの接続場所の確認」とはどういうことなのだろうかを簡単に説明しようと思う。
クリーンの動作を例に話すとしよう。 端的に言うと
1.構える ↓ 2.ファーストプル(デッドリフトと同じような動作でバーベルを持ち上げていく) ↓ 3.セカンドプル(下半身の関節を伸展させる力を使いながら、バーベルに加速を加え一気に上昇させる動作) ↓ 4.キャッチ
である。 異論は認める。 だがおおよそはこんな感じだと思う。
ボックスを使ったクリーンというのは、3.セカンドプルをする適切な「場所」を確認するためのものなのだ。
2~4までは基本的にノンストップで流れるように行っていく。 2、3、4で止まって切り替えるという動作は、しないのが通常である(ただ実際に2→3への際に動作が止まる人は多数いる)
高さの設定がすべてを決める
ボックスでは、まず、そのセカンドプルの場所にバーベルが来るように、あるいはその少し前ぐらいの高さまでに調整して設置する。 そしてそこにバーベルを乗せて、構える。 この構えた時の体の形状が、セカンドプルをする直前の自分の姿勢である。 ……ということを体に覚えこませるのが目的なのではないかと思う。
だからここから無理やり引き上げるための内容ではない。
そして、まずはボックスの高さ設定が非常に重要である。 そこで適していない高さでやってしまうと、そもそもボックスでやる意味がなくなる。 自身の形状を体に叩き込むためのものであるので、まずは設定が大事なのだ。
高さの基準としては、力を出力する際に、最大に大きな瞬発力を出せる関節の角度や筋長になるようにするのが重要だ。 そこから少しだけ猶予を持たせた高さに設定し、一番瞬発力を出せる体の形状になったところで力を入れる。 その形状やタイミングをとにかく体に覚えこませる、これがボックスの割と有効な内容であろう。
ハングとの違い
よく似た練習にハングがある。 どちらも床からではないところから引くという点では同じだが、目的の性質は違う。
ハングはバーベルを持った状態から始めるため、そこから姿勢を作りにくい。 すでに保持している状態のまま形を整えることになるからだ。
対してボックスは、バーベルが台に乗っている。 つまり引き始める前の段階で、じっくり構えを作ることができる。
この記事で書いてきた「形状の確認」という目的から言えば、ボックスのほうが適しているということになる。
だから高重量は要らない
だからこのトレーニングに高重量は不要である。 目安としては、1~3レップでやっと、というような重量は要らないというところだ。
また、セカンドプルが問題なくできるようになった時点で、この内容は必要ではなくなる。 自分が最大限瞬発力を出せるように、体の状態を覚える、それだけである。
分割することが目的ではない
ただし、これは動作を分割して練習することを勧めているわけではない。
著者は以前、ウエイトリフティングフォームを分割するとウエイトリフティングではなくなるという話を書いている。 分割したものを足し合わせてもウエイトリフティングにはならない、という考えは今も変わっていない。
ボックスはあくまで「場所」と「形」を確認するためのものであり、分割することそのものが目的ではない。 だから確認が済んだら、すぐに通しの動作に戻る。 むしろ戻らなければ意味がない。
確認のために一旦立ち止まることと、分割したものを積み上げて完成させようとすることは、まったく別の話である。
ただ、これは非常に重要である。 ウエイトリフティングにおいて、セカンドプルこそがウエイトリフティングたらしめるものであると言っても過言ではないからだ。 だからこそ、トレーニングの仕組みや目的、その内容で出来ることなどをしっかり考え、その上で取り入れていくことは非常に大事である。
この辺りを踏まえながら、初中級者の方々が、ボックストレーニングを有効に生かせるようになればと思う。
以上。
2026.9.5 新規
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